中小工場のためのIoT構築入門、永山貴久著。副題は、低コストで簡単にシステムを作る。WindowsPC、ラズベリーパイ、バーコードリーダを使ったシステム構築事例。必要な機材や機材を使用できるよう順を追って説明があり、最終的には収集したデータの分析・活用方法まで例があります。序章を読んで興味が湧かなければ、今は必要ないのかもしれません。
特に、現場の方々との意思疎通を大事にし、目的・目標・設計・ロードマップ、ここは興味深く読ませていただきました。この部分、知識豊富な方はないがしろにしがちだと思うので、リーダーとなる方は必読ですね。
IoT(Internet of Things)って?
IoT(Internet of Things)、 読みは、アイオーティーで、訳は、モノのインターネット。要するにモノがインターネット経由で通信することを意味しているようです。
いままでインターネットにつながっていなかったモノをつなぐ 、人手を介さずに必要な情報を送受信できるシステム。
一般的に、インターネットというと、ブラウザで閲覧できるような広義なネットワークを想像します。この本では、自社工場内のネットワークのことを意味しています。もちろん、社外から工場内の収集データ、解析データにアクセスすることも可能ですが、それは別の書籍やネット情報にアクセスするようになります。
概 要
企業でIoT(Internet of Things)の導入を考えている方に、自分でIoTを構築する方法について述べられています。目次を見れば一目瞭然なのですが、IoT構築手順、必要情報収集、表示、活用方法、ほぼこれ1冊で、工場内 IoT の試行は可能と思います。
自作には、ラズベリーパイというとても小さなボードコンピュータとバーコードリーダーを使用。バーコードリーダーから読み取ったデータをラズベリーパイに保存。保存したデータをWindowsPCで読み取り、活用する、システムを構築する方法が学べます。
できれば、同じ機材を準備して、実際に試行しながら進めるとすっごく理解できるのではないかなぁ。
必要な能力は、『ヤル気』のみ。利用する言語は、ラズベリーパイでは、Linuxコマンド少しとPython、WindowsPCでは、Excel VBA。
全ての入力コマンドが記載されているので、まず入力して動かしてみるといいかも ^_^
自作で得た 知識は、その後の本格活用への展開や外注化時の仕様打合せなどにとても役立つと思います。少なくともお仕着せのシステムにだけはならないでしょう。
書籍情報
- 書籍名:中小企業のためのIoT構築入門、低コストで簡単にシステムをつくる
- 著 者:永山貴久氏
- 発行所:日刊工業新聞社
- 初 版:2019年5月30日
- 価 格:2,000円(税別)
目 次
目次内(このページ内)をブラウザの検索機能を活用して、IoT構築で興味ある言葉や文字列を検索してみてください。
ヒットしたら、この本の購入を考えたらいいと思います。^_^
序 章 自社工場にフィットしたIoTを構築するために
第1章 工場のIoTシステムを構築する手順
1.1 IoTを構築するための準備として必要なことを知る
1.1.1 工場におけるIoTの本質を理解する
1.1.2 IoTに必要な基本スキルを知る
1.2 IoTシステムを構築するための計画をつくる
1.2.1 目的と目標を設定する
1.2.2 プロジェクトチームをつくる
1.2.3 目標を決める
1.2.4 システムを設計する
1.2.5 ロードマップを策定する
第2章 工場の情報を収集するシステムを自作する
2.1 ボードコンピュータとバーコードで見える化システムをつくる
2.1.1 ボードコンピュータ(ラズベリーパイ)とPCをつなぐ
2.1.2 バーコードリーダーを使って工程を見える化する
2.2 ウェブカメラを活用して、プログラミングが不要な作業管理用IoTをつくる
2.2.1 生産性向上のための、ウェブカメラによる画像の撮影・記録システムの使い方
2.2.2 ウェブカメラによる画像の撮影・記録システムの構築手順
第3章 IoTで取得したデータを意味あるものとして表示させる
3.1 何をどのように分析するか
3.2 分析結果をどのように表示させるか
3.3 表示システムを製作する時の選択肢
3.4 分析・表示マクロをつくってみる
第4章 IoT運用ポイントを目的別に把握する
4.1 生産性向上のためのポイント
見える化とカイゼン(小集団活動など)に活かすために
4.2 不良率低減のためのポイント
不良要因の絞込み用データを取得
4.3 情報共有によるシナジー効果のためのポイント
4.4 製品の付加価値向上のためのポイント
4.5 モチベーション向上のためのポイント
4.6 IT人材育成のためのポイント
第5章 エクセルマクロを使って、IoTをカスタマイズしてみる
5.1 マクロを使う準備
5.2 マクロ記録の使い方とマクロの実行
5.3 VBE(Visual Basic Editor)の使い方
5.4 Basic の基本構文と Debug.Print、Cells(i,j)、For Next、配列、If 分岐
5.5 マクロの記録の編集とヘルプ、ネット検索などを用いたデバッグ
5.6 演算子(+,-,*,/,¥,Mod,^,&,Not,And,Or)と文字列操作
5.7 外部ファイルの操作
付録1 WinSCP(フリーソフト)を用いたラズベリーパイ内のファイル参照
付録2 不良数を数えるサンプルプログラム
付録3 現品票を自動印刷するマクロの作成方法
付録4 オフラインヘルプの使い方
付録5 データ分析、グラフ化マクロの詳細
読み終えて
序章で、『会社経営という観点で考えれば、単に動作するだけでは成功と言えない。』との弁、また、IoTを成功させるために何が必要か、ここがスゥ~と理解できる方にはとてもいい書籍だと感じました。結局は利益につながらないとメリット無しですもんね。
著者は、IoTの初心者でもわかりやすいように解説していると言い切っています。人によっては?ってなるかもしれません。でも、普通にワードやエクセルを使っている人なら読み込めばきっと光が見えてくると思います。
書籍事例から自社に適したものに水平展開できる能力を身につけることが必須なんですけど・・・
自ら考えることの大事さを伝えてくれます。少しでも興味ある方は、チャレンジしましょう。失敗しても・・・といいますか、失敗に見えても、将来きっと役立つ知識を得られると思います。
誰かの言葉に『失敗したからこそ気づくことがある』ってありませんでしたっけ?
そうそう、 『 IoTで期待できる効果の多くはIoT単独では実現できない』って文章があった。これすっごく大事なことですね。
最後に、余談になっちゃいますが、これ一通り作っちゃうと、家の中のいろいろな電化製品が自分の好き勝手にできちゃいそうです。それも外出先から・・・
この本、興味ある方はこちらからどうぞ ^_^
amazon、中小工場のための IoT 構築入門
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